突然の挨拶や世間話が苦痛なので引っ越した話。今いる場所だけが世界のすべてじゃないよね。




今年の春先に小さな庭の付いたアパートの1階に住み替えをした。

1〜3年に1度のペースで引っ越しをしてるので、いろんな物件に住んできたけど、今住んでるアパートがこれまでの中では一番築年数が浅め。

もともとは古い家が好きで、自分でDIYとかしてゆったりと暮らしていこうと考えていたのに、まったくの真逆の物件に住んでいる。そして、今の部屋がこれまでで一番落ち着くし、気に入ってる。

その理由なんだけど、ぶっちゃけてしまうと、挨拶が苦手だからだ。

たったそれだけ?と驚かれるかもしれない。だから、この事は奥さんと、かかりつけのお医者さんくらいにしか話したことがないここだけの話。しかも、挨拶と住む家とどういう関係があるの?ととにかく謎だらけなこの理由だけれど、どうか最後まで読んでほしい。

 

やっぱり古い家でDIYとか庭作りが楽しめるような物件となると、どうしても田舎の近所付き合いが不可欠となってくる。隣近所の方と会ったら、できるだけ元気に挨拶したい。

そう、したいのだ。でも、これがむずかしい。

実は、私は挨拶するための準備をしておかないと挨拶ができない。

たとえば、朝だったら、「今から会う人には、朝だからオハヨウゴザイマスだな、ふむふむ」と唱えながら家を出る。すると、誰かと会ったら、余裕の表情で挨拶ができる。

これが11時くらいだと2パターン準備しておかないといけない。「オハヨウゴザイマスとコンニチハのどちらかひとつだな。ふむふむ。相手の出方を見てどちらを使うか決めなければ」という感じ。少ししどろもどろになりがち。

勤めに出てたときは、前の晩からこのシュミレーションをしていたので、挨拶ができる人だと思われていた。挨拶ができる=仕事もできそうという昭和な考えの勤め先が多かったので、仕事ができない私にもリーダー的な役割が回ってくることが多かった。何かを教えたりするのはわりと得意だったのだけれど、仕事そのものはまったくできなかったので、結局、転職しまくりだった。

前もって準備していれば、挨拶も余裕でできるんだけど、何せ負担が重くなる。だって挨拶って毎日のことだし、一日に何度もあるし、しかも突如としてその瞬間はやってくる。

一番苦手なのは、庭で土いじりとか掃除してるときの挨拶。もう、気持ちは庭とか掃除のことで頭がいっぱいで集中しまくっている。そんなときに、いきなりお隣さんとかと鉢合わせになっても、挨拶の言葉なんて出てこない。しかも、ある程度、顔見知りになってるから、挨拶の後には世間話のひとつやふたつは必要だ。

できれば、1日のうち3回以上は庭に出たいのに、挨拶の負担が重くのしかかってくる。しかも自宅で仕事していたので、仕事や家事の合間に庭に出ていたりするから、頭の中はそれらの段取りのことで頭がいっぱいになっていて、とても挨拶のシュミレーションをしている場合じゃない。

次第に、一日が挨拶や世間話のためだけにあるんじゃないかと思えるくらい負担に感じるようになっていた。

 

実は私は、以前、発達障害の可能性があると診断されたことがある。突然の挨拶が苦手なのも、発達障害から来ているのかもしれない。その後、いろんな検査を受けたり、障害者事業所で働いてみたこともあるんだけれど、発達障害だとわかっても、障害者事業所で働いてみたとしても、何ひとつ楽になったり生きやすくなったりはしないみたいだなと先が見えてきて、結局、フェイドアウトしてその世界から離れることにした。

そして、自分のやり方で生きていくことにした。

苦手なことは、可能な限り、やらない。がんばることをやめて、やらないで済むような環境にしてしまう。

障害者として生きていくことを選んでしまうと、どうしても第三者から苦手を克服しましょうーと励まされてしまう。がんばりましょうー、ファイト~みたいに気合とか感情で乗り越えようという風潮が強くて、それに流されてしまい、がんばらなくちゃ生きて価値がないという気分になってしまう。

私がホントに必要としてたのは、感情論じゃなくて、毎日の暮らしの手順とか段取りとかの方法だったのだ。

苦手なことがたくさんあるけど、それらをどうすればやらずに済むかを熟考して、楽にできる方法をトライアンドエラーで試してみる。

そして、得意なことをドンドン伸ばしていく。

こういうことが私にとって必要だったことに気付いた。なので、勤めに出ることすらを諦めてみて、自分で仕事ができないかといろんなことを試してみることにした。結果、これまでで一番順調で幸せに生きている。

 

と、話がズレてきたので、挨拶の話に戻そう。

こういう事情があって、じゃあ、挨拶しなくても大丈夫そうなとこに引っ越せばいいじゃんと思いつき、アパートに引っ越すことに決めたのだった。でも、猫とか鳥とか魚とかペットもいるし、植木もいっぱいあるし、良いとこ見つかるだろうかと少し不安だったんだけれど、スムーズに良い物件が見つかった。

1階にしたのは、地震が怖かったから。6階の古いビルに住んでた頃に地震を経験したので、今でもトラウマ。

ちなみに、もちろんアパートでも挨拶はしないといけない。入居時の挨拶は入念に済ませたし(でも、結果インターホンに出てこなくて会えなかった人もいたけど)、会えばちゃんと挨拶はしている。でも、戸建てとか平屋に住んでた頃よりも、ファミリー層の多いマンションに住んでた頃よりも、断然、空気感が楽なのである。何というか、万が一、上手く挨拶できなかったとしても大丈夫な空気感がある。それで、隣組の噂になるということもない。戸建ての賃貸に住んでたときは、挨拶ひとつで隣組の噂の的になっていた人もいた。

今は、すごく楽で安心して過ごせている。

挨拶してもしなくても大丈夫な風通しの良さがここにはあるから。

たかが挨拶されど挨拶というのもわかるけど、それで生きづらさが生じてしまうくらいなら逃げ出してもいいと今なら自信を持って言える。今いる世界だけがすべてじゃないから。それに、挨拶だけで人を判断するのも浅はか過ぎることに気付いた(かく言う自分も昔、人を指導する立場だった頃は、挨拶がどれほど重要かということを熱弁していたけどね)

挨拶や世間話が苦手で日常生活に支障があるという人は生き方を変えてみるのもアリかもしれない。それで、もっと大事な自分ごとに集中できるなら絶対そっちがいいはずだし。気持ちも楽になれば、表情も柔らかくなって、結果、良い挨拶ができるようになるだろうし。

挨拶や世間話よりも、大切な人と深い話をしよう。